【ギア比とは?】リール選びの初歩:初心者向けのギア比完全解説
リールのギア比とは、ハンドルを一回転させたときにローターやスプールが何回転するかを示しています。
たとえば、5.7:1の比率のリールでは、ハンドルを一回転させるとローターやスプールが5.7回転します。
比率が低いほど回転数が少なく、高いほど多くなり、ゆっくりと深く釣りたい場合は低い比率を選び、速く表層で釣りたい場合は高い比率を選ぶのが基本です。
この記事では、釣り初心者に向けてリールのギア比について解説しますので、「ギア比って何?」という疑問をお持ちの方は必見です。
リールにおけるギア比とは?
繰り返しですが、ギア比とはハンドルを一回転させたとき何回転するかです。
冒頭のとおり、5.7:1の比率のリールでは、ハンドルを一回転させると5.7回転します。ギア比が6.4:1のリールでは、ハンドルを一回転させるたびに6.4回転します。
その結果、5.7:1のギア比を持つリールは、6.4:1のギア比を持つリールよりも回転が遅いことになります。
ギア比の種類は4つ
ギア比には「ローギア・ノーマル・ハイギア・エクストラハイギア」の4種類があり、それぞれ特徴が違います。
次のセクションから、これら4つのギア比がどのような特徴があるのか見ていきましょう。
ローギアとはギア比が5以下のリール
ローギアのリールとは、ギア比が5以下のものを指します。
この低いギア比は、ハンドルを回す力が直接大きなトルク(回転力)に変換されるため、重いルアーや大型の魚を引き上げるのに適しています。
ローギアの特徴
ローギアリールの最大の特徴は、その強力な巻き上げ力です。
ギア比が低いため、大きな魚に対しても十分なパワーを提供し、ファイターが疲れにくくなります。
また、巻き取りスピードが遅いため、ルアーをゆっくりと動かすことができ、特に深い水域での釣りやボトムフィッシングに有効です。
ローギアの用途
ローギアリールは、特に大型魚の釣りや、ヘビーカバー(水草や岩場などの障害物の多い水域)での釣りに最適です。
重いルアーやビッグベイトを使用する際にも、このリールの低いギア比が力を発揮し、スムーズな操作を可能にします。
また、海釣りやバスフィッシングでのジギングやボトムフィッシングにも適しています。
ノーマルギアとはギア比が6前後のリール
ノーマルギアのリールは、ギア比が6前後のリールなります。
このギア比は、巻き取りスピードと巻き上げ力のバランスが取れているため、さまざまな釣りスタイルに適応します。
ノーマルギアの特徴
ノーマルギアの特徴はその汎用性にあります。
ギア比が中程度なので、速いアクションと十分な巻き上げ力を同時に提供します。これにより、ルアーの操作性が向上し、反応速度が求められる釣りに適しています。
また、疲労感が少ないため、長時間の釣りでも快適に使用できます。
ノーマルギアの用途
ノーマルギアのリールは、特に多目的な釣りや中型の魚を狙う場合に理想的です。
たとえば、バス釣り、トラウト釣り、ライトソルトウォーター釣りなど、幅広いシチュエーションに対応し、初心者にとって扱いやすく、多様な釣り方を試すのにも適しています。
ノーマルギアのリールは、そのバランスのいい性能で、その汎用性から多くの釣り人のタックルボックスに1つは持っておきたいリールと言えます。
ノーマルギアを基準にすれば、他のギア比を使ったときの違いを判別できますので、初めてリールを購入する人はノーマルギアがおすすめになります。
ハイギアとはギア比が7前後のリール
ハイギアのリールは、ギア比が7前後の範囲にあるリールです。この高いギア比は、迅速なルアーの回収や繊細なルアーコントロールを可能にします。
ハイギアの特徴
ハイギアの主な特徴は、その高速巻き取り能力です。
ギア比が高いため、少ないハンドルの回転で多くのラインを巻き取ることができます。これにより、ルアーを素早く操作し、活発な魚に対応することが可能になります。
また、頻繁に位置を変更する際にも、効率的にラインを回収できます。
ハイギアの用途
ハイギアのリールは、特にアクティブな釣りに適しています。
たとえば、シャローエリアでのバス釣りや、迅速なアクションを要求されるトップウォーターフィッシングに最適です。また、広範囲をカバーする際や、反応の速い魚種を狙う場合にも有効です。
ハイギアのリールはそのスピードと効率性により、特定の釣りシチュエーションで大きなメリットを提供します。
エクストラハイギアとはギア比が8前後のリール
エクストラハイギアリールは、ギア比が8前後のリールを指します。
この非常に高いギア比は、極めて高速なラインの回収を可能にし、特定の釣りシチュエーションで大きなアドバンテージを提供します。
エクストラハイギアの特徴
エクストラハイギアの主な特徴は、その驚異的な巻き取りスピードです。
非常に高いギア比により、ハンドルを少し回すだけで大量のラインを巻き取ることができます。
これにより、非常に速いアクションのルアー操作や、大規模な水域での効率的な探索が可能になります。
エクストラハイギアの用途
エクストラハイギアは、特に広範囲を素早く探索する必要がある場合や、迅速なルアーの回収が求められる釣りに適しています。
たとえば、広いフィールドでの釣りや、速い動きを要求される釣りに理想的です。また、大規模な湖や河川での釣りにも有効で、効率的に多くの水域をカバーすることができます。
エクストラハイギアのリールは、その高速性と効率性を活かして、特にアクティブな釣りスタイルにおいて大きなメリットをもたらします。
ギア比の意味は自転車で例えると分かりやすい
ここまで読んでも、各ギア比について疑問がある人は、自転車で例えると分かりやすいかもしれません。
ローギアは自転車の1速と同じ
自転車の1速は坂道を登るときに使う低速ギアです。
1速はペダル1回転に対して車輪が少ししか回らないため、ペダルを軽く回すだけで十分なトルク(回転力)を生み出し坂を登りやすくします。
ローギアのリールは自転車の1速に似ており、ハンドル1回転に対してスプールが少ない回転数で回ります。これにより、ハンドルを回す際の力が少なくて済み、同時に大きな巻き上げ力を提供します。
要するに、「ローギアはパワーがあり巻き上げ力もあるが、速さがない」ということです。
ノーマルギアは自転車の3速と同じ
自転車の3速は、坂道と平地の中間に位置するギアで、適度なスピードと効率的なペダル回転のバランスを提供します。
このギアを使用すると、力をあまり使わずに快適に走ることができ、軽い坂道でもそれほど負担を感じることなく走行できます。
ノーマルギアのリールは、自転車の3速ギアのように、さまざまな釣りの状況に対応するバランスのいいパフォーマンスを提供します。
ノーマルギアのリールは、速すぎず遅すぎない適度な巻き取り速度を持ち、多様な釣りのシチュエーションに適応できます。
ハイギアやエクストラハイギアは自転車の6速と同じ
自転車の6速ギアは、平地での高速走行に最適なギアで、6速を使用すると少ないペダル回転で高い速度を出すことができます。
ハイギアやエクストラハイギアも同様に、ギア比が高いとハンドルを少し回すだけで多くのラインを巻き取ることができるので、素早くルアーを回収したり、広範囲の水域を迅速に探索することが可能になります。
しかし、自転車の6速で坂道を登ろうとすると、ペダルを漕ぐパワーが必要になります。これと同じで、ハイギアやエクストラハイギアは速度は出るものの、ノーマルギアに比べてパワーがありません。
そのため、重いルアーを扱うときや、大型の魚とファイトする瞬間のような、パワーを必要とする場面で力不足に感じることがあります。
【注意】ギア比はメーカーで異なる数値になる
ここがやっかいなのですが、ギア比の数値は統一されてなく、各メーカーで異なります。
理由としては、スプールの形状やサイズが異なると、同じギア比でも巻き取り量が異なるためです。
たとえば、円形のスプールのほうが、楕円形のスプールよりも巻き取り量が多くなります。また、スプールのサイズが大きいほど、巻き取り量が多くなります。
そのため、メーカーや機種ごとに、スプールの形状やサイズを最適化することで、より使いやすいリールを提供するために、ギア比の数値を統一することが困難であると言えます。
18アンタレスDCMDXGと24STEEZ SV TW100Hを比較
同じギア比でも、メーカーでどれだけ違うのか簡単にまとめてみました。
SHIMANO 18アンタレスDCMDXG (エクストラハイギア) | Daiwa STEEZ SV TW100H (ハイギア) | |
---|---|---|
ギア比 | 7.8 | 7.8 |
最大ドラグ力 | 6 | 5 |
自重 | 235 | 160 |
最大巻上長 (cm/ハンドル一回転) | 93 | 78 |
ベアリング数 (ボール/ローラー) | 10/1 | 12/1 |
ハンドル長 (mm) | 45 | 85 |
※18アンタレスDCMDXG←エクストラハイギア
※STEEZ SV TW100H←ハイギア
上記のとおりで、同じ7.8のギア比にもかかわらず、そもそもハイギアとエクストラハイギアのように、各メーカーで定義が異なります。
ギア比の表記もメーカーで異る
メーカーはアルファベットでギア比を表記していますが、ここも各メーカーで異なります。
SHIMANO
- 製品名のみ=ノーマルギア
- 製品名+PG=ローギア(SHIMANOではパワーギア)
- 製品名+HG=ハイギア
- 製品名+XG=エクストラハイギア
DAIWA
- 製品名のみ=ノーマルギア
- 製品名+P=ローギア
- 製品名+H=ハイギア
- 製品名+XH=エクストラハイギア
大手のメーカーでは上記のように記載されていますが、ユーザーとしては混乱する要因のひとつでもあるので、できれば統一して分かりやすくしてほしいですね。
初心者向け最適なギア比の選び方
リールを選ぶ際、最も重要な要素のひとつがギア比です。ギア比はリールの性能を大きく左右し、釣り方や狙う魚種によって適したギア比が異なります。
リールを購入する際「どのギア比を購入すればいいか分からない」という初心者の人は多いと思いますが、タックルは釣り人の考え方に依存するので、必ずしも「〇〇のギア比が最適」とはなりませんが、いくつか基準となる考え方があります。
ここでは初心者が最適なリールを手に入れるためのヒントを提供します。
まずはメーカーを選ぶ
これまでの解説のとおりですが、ギア比は各メーカーで意味が異なりますので、ギア比を軸に探すのではなく、先に購入するメーカーを決定してみましょう。
メーカーが決まればそのなかから目的のギア比を選択すればいいので、ギア比の数値を基準に探すよりも簡単です。
なお、初めてリールを購入する人はSHIMANOかDAIWAがおすすめです。大手のメーカーなので信頼性が高く誰が使っても問題ないメーカーです。
初めてのリールならノーマルギアがおすすめ
先ほども触れているように、ノーマルギアを基準にすれば他のギア比を使ったときの違いを判別できますので、初めてリールを購入する人はノーマルギアがおすすめになります。
汎用性が高いことはもちろんですが、コストパフォーマンも良く、多くのメーカーがノーマルギアを提供しており、初心者でも手に入れやすい価格帯の製品が豊富です。
初めてのリール選びでは予算と性能のバランスも重要なポイントなので、迷ったらノーマルギアにしてみましょう。
※なお、基本的に「ノーマルギア→ローギア→ハイギア→エクストラハイギア」の順に価格は上がっていきます。
人気で決めるならハイギア一択
昨今では多くの経験豊富なアングラーがハイギアのリールを推奨していますので、人気で選ぶならハイギア一択になります。これは、その高い性能が幅広い釣りシチュエーションで評価されている証です。
また、ハイギアの需要が高くなっているので、多くのメーカーがハイギアのリールに最新技術を導入しています。これにより、耐久性、軽量性、操作性など、多面的に優れた製品が市場に出ています。
人気を重視する方にとって、ハイギアのリールはその実績と性能から見ても、非常に魅力的な選択になります。
【重要】ひとつのギア比で全てをカバーするのは不可能
ギア比を考えつつリールを選択することは重要ですが、ひとつのギア比で全ての条件をカバーするのは不可能です。
釣りのスタイルやターゲットによって適切なギア比は異なるため、複数のリールを使い分けることが理想的です。
そういった意味でも、他のギア比に乗り換えたとき違いが分かりやすいノーマルギアは最初のひとつに最適なのかもしれません。
まとめ
ギア比はハンドル一回転に対するスプールやスプールの回転数で、釣り方やターゲットに応じて異なります。
初心者にはノーマルギアがおすすめで、これは汎用性が高くさまざまな釣りに適応しやすいです。一方ハイギアは、高速巻き取りが可能で、アクティブな釣りや広範囲をカバーする釣りに適しており、人気が高いギア比になります。
ローギアは重いルアーや大型魚の取り込みに優れ、エクストラハイギアは極めて高速な回収が特徴で、広範囲を素早く探索する際に有効です。
リール選びでは、これらの特性を理解し、自分の釣りスタイルに最適なギア比を選ぶことが重要で、さまざまな条件を判断するためにも最初の1個は「ノーマルギア」が最適になるかもしれません。